日時:平成24年8月14日(火)午前10時30分〜午後2時30分 場所:金谷「よし善」 内容:「遠州近辺の土人形について考察する」
一部:講座 「遠州近辺の土人形について考察する」 話し手:会長 山梨 博康さん(写真)
(1)はじめに 暫くの間、「静岡県には土人形の産地が無いのでは?」と囁かれていましたが、昭和41年(1966年)に志太天神・上新田土人形、昭和46年(1971年)に坊ノ谷土人形、平成元年(1989年)に幻だった金谷土人形の存在が確認されました。 (2)坊ノ谷土人形 (産地)菊川市高橋(旧小笠郡小笠町高橋) (作者)■高木家 初代:高木弥佐ヱ門、二代:伊三郎、三代:亀次郎,つね、四代:宏 (創始)初代弥佐ヱ門が明治20年頃(31歳位)に創始した。 (人形の特徴) @天神なら梅鉢紋の中に赤ポチを入れ、台座は派手な花弁模様、他に三つ星などもある。 A人形の前後合せ目と底の穴は全部和紙を以て塞いである。 B三河系の比較的大型の物が多い。 坊ノ谷は金谷の型でスタートしたが、人形にも多分に先進の金谷を類似したものを作ったのではないかと思われる。 ■山田家 初代:山田貞右衛門,貞、しも(明治40年頃嫁に来た) 明治末から昭和13年頃まで製作されていた。(高木亀次郎さんの記憶) (人形の特徴) @高木家のような特殊な描彩はない。 Aズッシリと重いものが多い。 (坊ノ谷土人形の種類)内裏雛、招き猫、天神、仁田四郎、熊金(写真)、鯱乗り童子、花魁、大黒、恵比寿、鯛持ち恵比寿、鯛抱き恵比寿、馬乗り鎮台、子守、俵担ぎ金時(写真)、羽衣狆、西洋犬、風俗人形ほか (3)金谷土人形 (産地)島田市金谷(旧榛原郡金谷町) (作者)■山内家「菊川屋」 創始者:山内幸蔵、二代目:山内源作、三代目:山内 房吉 ■石川家「菊川屋」(生家の屋号を使用) 石川杢平(源作の次男)、さき・・・明治19年夫婦養子、跡継となった。 ※山内家、石川家の土雛は明治30年代で廃絶。 ■菊川屋 おさき姉(ねえ) ■永井家 近江屋文佐衛門(通称:近文)「西の宰領」と呼ばれた。 永井駒蔵(本家)両替商が宿役人を務める傍ら、土雛を作っていた? 土雛作りは明治末年で終了。永井佐吉(分家) ■水野家「山路の焼雛」 水野源七、源十、亀次郎 明治末期まで作られていた? (人形の特徴) @人形の前後の合せ目と、底の穴は全部和紙を以て塞いである。 A三河の様に、型。彩色もニス掛けもまったく三河物と同じ。 B坊ノ谷と似ている。 C土色は赤く少々粗い。 (種類)天神、俵牛、犬乗り童子、亀抱き、桃抱き、俵乗り大黒、大楠公、鯛抱き (4)志太天神・上新田土人形 【志太天神】 (産地)大井川町上新田(旧遠江国榛原郡上新田村) (作者)創始者:青野嘉作、後継者:滝井喜代蔵、後継者:横山熊蔵 北村 清(横山の流れを汲む)、甲賀峰子(北村清の長女) (天神の特徴) @前期志太天神(明治10年より前期) 眉目整い、極めて手慣れた筆使い。底:茶色 A後期志太天神(明治10年より後期) やや鋭い面相で明らかに別人の筆。底:白色 B後期末志太天神 底:桃色 【上新田土人形】 (作者)青野嘉作が、練天神の製作を続行しながらも、練天神から土人形に方針した動機は知るよしも無い。 (特徴)粘土を凹型に詰めて、型から抜いて天日干しをして胡粉を塗って彩色すれば完成。生土だけではショックに弱いので、すさを混ぜて強度を増してある。 (種類)御高祖頭巾(2種)、座り犬(大、小)、大福持ち大黒、鯛抱き恵比寿、小槌持ち童子(2種)、桃持ち弁天、鯉担ぎ (4)考察 坊ノ谷土人形の面相描きを見ますと、切れ長の細い目の上にもう一筋線が描かれており、二重まぶたになっている土人形が有ります。 ニス無しとニス掛けが有りますが、三代目亀次郎さんの土人形の面相は二重まぶたで描かれ、先代の特徴をそのまま踏襲しております。 作風からしてニス掛けは二代目伊三郎作、ニス無しは初代弥佐ヱ門と推測されます。 二部:昼食・連絡事項・即売会・抽選会・入札会 菜飯田楽を堪能する。 「よし善」電話:0547・46・1869 午前11時〜午後2時迄(毎週第2木・金定休日) (即売会)各地の張子達磨を中心に、清水、文字ヶ関などの人形。 (抽選会)尾道「三体神輿」、船渡張子「かぼちゃねずみ」、伏見張子「あくび達磨」の3点。 (入札会)柏張子「十二支絵柄付達磨」1点(写真) 三部:川根温泉「ふれあいの泉」 露天風呂で入浴中に、大井川鉄道の蒸気機関車が通り、入浴客は一斉に川沿いの塀から蒸気機関車に手を振っていました。 「川根温泉・ふれあいの泉」電話:0547・53・4330 入浴料:大人500円、入浴時間:午前9時〜午後9時迄 【例会参加者】16名 |
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