郷土玩具愛好会 日本雪だるまの会 月例会概要
■ 2013年度6月例会報告2013.7.4

日時:平成25年6月15日(土)午後6時30分〜8時30分
場所:小梳神社・社務所於
内容:「玉子人形について」
話し手:山梨会長(写真参照)

1.玉子人形について
今年の年頭の挨拶に「古い物に拘らず、新しい物を見直し紹介する。」と言う事で、第一弾として「玉子人形」を取り上げて見ました。

@玉子人形との出会い
2年ほど前に地元の護国神社フリーマーケットにて、業者のガラクタ箱の中から出て来たのが、玉子人形の「奴さん」でした。(写真参照)
台座の裏に豊橋名物 玉子人形 豊工芸所 豊橋市瓦町南裏と印刷されたシールが貼ってあり、玉子人形としてはまったく知らない産地でした。

A豊橋市「豊工芸所」
ネットには照会されており調査しましたが、電話が通じなかったので、豊橋市の観光振興課に問い合わせてました。
残念ながら豊橋市内に玉子人形が存在した事すら知りませんでした。

一軒の玩具卸業さんから、「名前は忘れましたが、知多半島方面の業者さんに吸収されました。」と言う事を教えてくれました。
昭和40年代迄製作していたとの事ですが、これ以上の詳細は解りませんでした。
玉子人形の種類としては最も多く製作されたと思います。

B福岡県久留米市「玉子人形」
何個か所蔵の中から、全国郷土玩具ガイド[4](畑野栄三著)の福岡県に写真で紹介されていた久留米の玉子人形「相撲」に似ている玉子人形を作者の中野啓子さん宅へ写真を同封して手紙を出したところ、この玉子人形はお母さんの中野千代乃さんが製作した事が解りました。(写真参照)

千代乃さんは明治35年生まれで平成19年に104歳で亡くなりました。
父祖の代よりおきあげ(押絵雛)を取扱うため、繊細な押絵の味に新しい生命を通わせた玩具を作りたいとの年余の宿願により、完成までには種々の考案を重ね、改良を加えた。啓子さんの話では千代乃さんが80歳位までは作っていたそうです。
現在は家の事情で製作しておりません。

C大分県竹田市「玉子人形」
岡藩城下町では、いつの頃からか女の子の間に玉子の殻と布の端切れを利用して人形を作る遊びが流行りました。
昭和51年、竹田商工会議所より依頼され、当時、服装学院代表の干潟スミ子代表(現在79歳)が昔からの作り方を、当時80歳の管ヤスさん(故人)より教わりました。

旦那さんは干潟ベーカリーを経営し、スミ子さんは服装学院を経営しています。
地元出身の南画家(文人家)田野村竹田(たのむらちくでん)にちなんで、竹田(ちくでん)玉子人形と呼んでいます。
お土産用に「かぐや姫」他を売っています。(ネット販売有り)。
人形教室も開催しております。

D福井県小浜「玉子人形」
作者や他の事については詳細が不明です。
最近、売られている連獅子紅白一対などは、顔の描彩は印刷が見受けられます。

E山口県萩「玉萩人形」
購入時に「玉萩人形」と印刷された箱に入っておりましたが、栞などは入っておらず詳細不明です。
面相描きも他産地の物と違い、現代風に描かれております。

F東京都(吉徳資料室所蔵)
吉徳資料室の林会員よりの情報で、昭和30年代に二代目の山田徳兵衛氏が、郷土玩具博士と言われた清水清風【嘉永2年(1851年)〜大正2年(1913年)】の孫の清水靖子さんが製作した玉子人形を贈呈された。
内裏雛・三人官女・武者などで、この玉子人形の特徴は、布の衣装を着せておらず、全て絵付けで玉子の表面に描かれているとのことです。
この玉子人形は改めて、林さんより報告が有りますのでお楽しみに。

2.まとめ
久留米市の玉子人形は製作されておりませんが、竹田の玉子人形は教室も開いており、この先安泰です。
玉子人形の種類では、やはり「相撲」「横綱」が多く見受けられ、特に豊工芸所で製作された人形は、綱や髷などもしっかりと作られております。

3.連絡事項
7月例会は、横浜市より会員の松沢さんをお呼びし、清水区の日の出マリンビルにて行います。当日は隣接する日の出埠頭に於いて、第29回清水マリーンフェスティバルが開催されており、山梨会長と会員の高田さんの2名が、羽衣レガッタのボートレースに出場します。例会前に、潮風にあたりながら、熱いボートレースを観戦し応援して下さい。
8月例会は芝川町にてバーベキューを実施します。

4.即売会・抽選・入札
今月の即売品は花巻(平賀章一作)、酒田、棚尾、姫、古博多等の土人形や張子面、こけしなどが売られました。
抽選品は八橋土人形「舞女」(高松茂子作)、今戸人形「猪」(吉田義和作)、淡路島「津名の漁舟・だんじり舟」(肥田利一作)の3点(写真参照)。
入札品は名古屋土人形の「堂内天神」(野田末吉作)1点でした。


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